人間工学

楽器に対して、あごと肩当てをどう置くかについては、様々なことを考慮しますし、ある程度ルールもあります。しかし、演奏者一人一人の体型は違いますので、あるサイズの肩当てがすべての体型に合うというわけにはいきません。それでも、ヒラリー・ハーンのこのビデオで、有用なヒントが得られることでしょう。

『弦楽器』という雑誌掲載の「弦楽器奏者のための姿勢ガイド」は、十年以上前のものですが、今でもその上を行くガイドは出ていません。よい姿勢を保ちながら演奏するために必須のヒントが満載です。以下は抜粋です:

「筋肉は、最も負担がかからず最も抵抗の少ない位置に落ち着きたがります。無理な姿勢や、固定された(もしくは動けないような)姿勢や、硬直した体の状態を保持させられるような作業では、怪我のリスクが高まるというデータが出ています。こうした姿勢は、関節にむらのある負荷をかけるので、望ましくありません。しかし、こうした姿勢をとらざるを得ないことが多いです。作業上、他に選択肢がないというときには、特に無理な姿勢になりがちです。」

 

人間の動きの科学に興味や理解があり、それが弦楽器の演奏にどう関係しているのかを知りたい方には、この論説がお勧めです。プロのバイオリン奏者とビオラ奏者に見られる筋骨格系疾患を扱う医学雑誌に掲載された論説です。以下は抜粋です:

「楽器奏者に見られる筋骨格系疾患の主な原因は、筋骨格の酷使、神経の圧迫、局所性筋失調です。過度の使用による病害の主な症状は痛みで、弦楽器奏者がこの症状を訴えることが多いです。

こうした疾患は、内来的な要因と外来的な要因で引き起こされます。演奏者と弦楽器との関係性が、人間工学的分析と生体力学的トレーニングの焦点です。体のあらゆる部分と調和した姿勢が最重要で、その調和した姿勢により、首と手の位置が適切になります。」